自作デカール報国-556号

私はもっぱら筆塗りでマーキングを仕上げていてデカールを使うことは稀なのですが、最近デカールに大変便利なプリンターが出ているので自作して見ました。アルプスというメーカーのプリンターで既にモデラーの間ではかなり名が通っていますが、特徴はインクがドライ・トランスファータイプなのでインクの「にじみ」や「流れ」の問題がないという点です。また白インクの他、メタリックカラーも選べるのでまさにデカール自作にうってつけなプリンターで,インクジェットと同じ価格帯で売られているのも大変魅力です。確かにカラー・レーザー・プリンターを使えば「にじみ」の問題はないのですがカラー・レーザーは個人で所有するには高価な機械ですし、依然、白色が刷れないという問題がありました。

今回使ったデカールのアートワーク(零戦21型、報国ー556号)は、実は5〜6年前に手持ちのインクジェット・プリンターでデカール自作を試みた際、アドビー・イラストレターで作ったものです。その時はきれいに刷れるものの水溶性インクの「流れ止め」に苦労し(当然の事ながら)、結局クリアコートでてシールするという方法に落ち着いたのですが、ボッテリしたデカルであまり価値のないものになってしまいました。今回同じアートワークを使ってみて、アルプスのその繊細な刷り上がりに感動した次第です。

モデルはタミヤ1/48零戦21型

デカールのアートワークをPDFファイル(100K以下)にしました。ここに掲載した図よりはるかにシャープでステンシルも読めます。ご希望の方は以下をクリックしてください。一応1/72サイズになっていますがスケールはお好みでどうぞ。

 

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この報国ー556 第三千葉水産号のマーキングはかつてレプリカ誌(89年5月号)に発表されました。当時見たことのない珍しいマーキングにひかれて自作デカールを試みましたが、後に下の有名な写真、ラバウルの東飛行場から出撃する零戦21型が第三千葉水産号であるらしいことに気が付き、少し調べてみました。

報国機献納の記録によると昭和17年7月28日に同じ団体によって他に2機の零戦、報国ー554号と555号が献納されており、それぞれが第一千葉水産号、第二千葉水産号であったと推定されます。レプリカ誌には鹿屋空戦闘機隊、ラバウル昭和17年9月?となっていますが珍しい垂直尾翼の赤い斜め帯(この写真でも垂直尾翼突端に一部認められますが)と機番K-108について写真あるいは資料があるのか大変興味のあるところです。今回このレプリカ誌の記事にクレジットのあるリサーチャーの一人、DAVID AIKEN氏に問い合わせをしてみました。AIKEN氏によるとカウリングの下部に機番の末尾「8」が白で書かれているそうですがK-108の出所についての確認はとれませんでした。

私はデカールを使わなくなって久しいのですが、当然筆塗りには限界もありますし、レーサーや民間機のマーキングを筆塗りでやろうというようなマゾヒストではありません。特に気負っている訳ではなく、大きなスケールで大戦機をやっているのと、日本軍機の機番など実機もフリーハンドで書き直した例が多く無機的な仕上がりのデカールではなんとなくそぐわないと思うからです。最終的には表現の問題ですからテクニックはスケールやテーマなどに応じて使い分ければよいと思っています。

日中戦争時にアメリカが中国に送った有名な義勇軍、フライングタイガーのPー40の胴体には羽の生えた虎のキャラクターが書かれていますね。あれはディズニー・スタジオが製作して彼等に送ったビニール製のステッカー(台紙から剥がして貼る所謂シール)でした。他のマーキングはもちろん塗装なのでモデルも本物どおりにやるなら他は塗装で済まし、この虎のマークだけキット付属のデカールを使うというのはどうでしょう。^^) 

 

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