「アメリカの模型用塗料について」

前回、模型塗料のことを書いたので、今回は現在のこちらの模型用塗料事情について書いてみます。まず日本で主流のラッカー系塗料ですが、こちらには同種の
ラッカー系模型塗料はありません。グンゼのラッカー系塗料はこちらに輸入されてないことは前に書きましたが、私は飛行機モデルをグンゼのMr.Colorの筆塗りで仕上げているので日本に帰る度に大量に仕入れてきます。このグンゼのラッカー系塗料の顔料は実はアクリルで厳密にはラッカーではないそうです。(ああややこしい)

アメリカのラッカー塗料では鉄道模型用のフロクイルが長年あったのですがつい最近水溶性に切り替わりました。ここのラッカーはほんもので、プラスティックに塗る場合表面を溶かすので別売のバリアーコートを下地に塗らなければならないという面倒なものでした。かつて日本でレベルカラー、モノグラムカラーという塗料がありましたが、どちらも日本製でこちらにオリジナルがあった訳ではありません。こちらでずっと主流だったのはエナメル塗料で、パクトラエナメルが60年〜70年代を通じて一番使われていたようです。80年初頭発売になったテスターのスケール・マスターがその座を奪い現在に到っています。ただしここ数年、水性塗料の人気が本格派モデラーの間でも高まり、新たなブランドも次々と発売され、近い将来エナメルの需要を追い抜くのは明らかです。アメリカでは水性塗料の安全性が多くのモデラーにアピールしているようで80年中頃に日本から入って来たタミヤ、グンゼのアクリル塗料も子供用としてではなくモデラー一般に広く受け入れられています。

そもそも水溶性ホビーペイントを最初に売り出したのはアメリカのPOLLYですが最近ミリタリー用の水性塗料の新シリーズを出しました。テスターやパクトラもそれぞれ水性を発売していますし、モノグラムも最近プロモデラーシリーズのキットに入れている水性ペイントを本格的に発売するようです。これらアメリカ製水性ペイントはタミヤやグンゼとは違い、エナメルに似ていてドロッと重い感じで、筆塗りでもムラが出にくいという特徴があります。ただしグロスとメタリックの艶がよくないのとエアブラシで吹きづらいという弱点もありました。

これらアメリカ製水性ペイントの中でつい最近老舗POLLYが満を持して発売したミリタリー用塗料「ポリー・スケール」はなかなか画期的な水性塗料です。今まで水性の難点だったエアブラシとの相性およびメタリックの輝きを大幅に改良し、エナメルとほぼ同じ感覚で使える水性塗料としたからです。特にメタリックシルバーは水で薄めてもエナメルのあの輝きが得られるのですからちょっとした驚きです。またいままでの水性ペイントでもアルコールやミネラルウォーターで薄めればエアブラシで吹けたのですが、今度の「ポリー・スケール」はエアラシの場合、何と水道の水がミネラル・ウォーターよりも良い結果が得られる(!)というありがたい塗料です。私はこの塗料をコックピット内部等ディテール用として筆塗りで使ってますが、乾きもエナメルより速く(これは気候のせいもありますが)大変重宝してます。ヘアドライアを使えばさらスピードアップできます。「ポリー・スケール」はミリタリー用ペイントとしてスタンダードなRLMカラーからパンツアーカラーまでカバーしており、既に150色以上が発売になっておりまた前回書いた日本軍機色も陸、海軍機用にそれぞれ上、下面色が、そしてプロペラ用茶色と味方識別帯の黄色、合計6色が出ています。

IPMSの全国大会で何度も入賞しているわがクラブの名人ロイ・サザランド(クーパー・ディテールのオーナー)も水性ペイント派の一人で彼はもっぱらタミヤまたはグンゼの日本製アクリルをエアブラシで使用してますが、その仕上げの素晴しさは水性アクリルが決して子供用や入門者用ではない事を証明してす。

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