「IPMSコンテスト・ルール」

世界最大規模を誇るアメリカのIPMSコンテスト、1997年全国大会は先月オハイオのコロンバスにて開かれ盛況の内に幕を閉じました。私は今回行けませんでしたが、来年は私の住むサンフランシスコのベイエリアに於いて(サンタクララ)開催されるので今から楽しみです。今回オハイオでのコンテスト・リポートがインターネットや印刷メディアで次々と発表されていますが今年は1,000人以上のモデラーが2,175の作品を持って参加したそうで、過去最多数と発表されています。うちのクラブからも9人が会場に行ったのですが全員社会人、休暇を3〜4日貰って行っています。この全国大会の数字も大多数は社会人なのですからその盛況ぶりが伺えるというものです。リポートにも昨今の新キットのラッシュを裏切る事なく確実にプラモデルが復興しているという報告が目立ちます。さてこの大規模なコンテストの審査ですがどのように行われているのでしょうか。幾ら公平を期そうとしても審査は難しくコンテスト後、審査結果 についての批判は付き物と言ってもよいようです。今回も審査結果についての不満がインターネット上で幾つか述べられていました。その一つは、今回1/48のMe−109だけで相当数エントリーがあったそうで幾つものテーブルが必要だったそうです。審査の時テーブル毎に(20〜30機から)ベストを一機選び出し、さらにそれらの中から最終を絞ったため、個々のテーブルの技量 差が考慮されなかったと言う批判が出てました。(ウーム大変だなあ)ここでちょっとIPMSのコンテスト・ルールについて説明してみます。この審査の最大の特徴は多数のエントリーを審査するために減点方式をとっているという事です。これは予め全ての作品に100点満点を与えておき複数の審査員が個々にミスを見つけては減点して行くのです。ペンライトがこちらの審査員の必需品ですが審査時にはこれを使ってコックピット内や脚収容内部などを覗き込むのです。実にイヤな瞬間ですがこの審査方法は言って見れば全く褒めずに重箱の隅をつつくようなアラ捜しをする訳で、これは非常にスパルタンな方法といえるでしょう。実際に入選作品を見ると非常にクリーンで繊細な手の痕跡の全くない作品が多く、これを見る限り〜アメリカ人は不器用だ〜なんて全くの伝説だったのを思い知らされます。しかし多少イマジネーションに乏しく「守りの姿勢」がそこに在るのも否めません。この審査方式だと野心的なディテールアップも命取りになりかねないからです。せっかくスクラッチで追加したディテールも多少オーバースケールだったりすると何もしてない作品に負ける事になるからです。努力賞等などというコンセプトはなく、たとえ作品に非常に優れた部分があってもその作品のマイナス面 を補うことは決してないのです。これもアメリカのプラグマティックな一面といえるでしょうか。IPMS内部でもこの方法に対しての批判はあるのですが現状ではこれが迅速に多くの作品を審査出来る方法として以前採用されています。

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