「大戦中のカラー写真」

以前より大戦中のカラー写真には大変興味があり、この種の本は努めて入手してますが最近になって大戦中のカラー写真が多く発見され写真集として次々と発行されています。特に、JEFFREY L.ETHELLと言う航空研究家の出した'FIGHTER COMMAND", 'BOMBER COMMAND","WINGS OF WAR","WAR EAGLES IN ORIGINAL COLOR","THE VICTORY ERA IN COLOR"などはどれも150ページ以上のハードカバーですがすべて大戦中に撮影された写真で纏められており、大戦機ファンなら必携の本でしょう。また日本でも数年前、菊池峻吉氏が大戦中に撮影された陸軍の「屠龍」や「百式重爆」のカラー写真がついに発表されました。

10年前にはこんな本が次々と出されるというのは考えもつかない事でしたが、ETHELL氏によるとすでに、4桁に及ぶ数が彼の手元に集まっているそうです。彼自身も最初カラー写真は軍が公式に撮影したものが少数あるだけと思っていたそうですが、あるとき兵士の撮影したカラー写真を入手し未亡人や退役軍人会に同種の写真がないか呼びかけたところ一挙に集まったそうです。そのほとんどが戦地での個人的なスナップショットで、歴史家にもその非公式に撮影されたカラー写真の存在は知られてなかったそうです。実際コダックのカラースライド、コダクロームは太平洋戦争前に発売され、高価ながらもデパート等で売られ、いままで言われていたほど珍しいものではなかったそうです。ですからカメラとこのフィルムを荷物にしのばせて戦地に赴いた兵士がいてもおかしくない訳です。以前こちらの航空雑誌に退役パイロットの人がP-40のカラー写真を投稿しているのを見ました。地上でプロペラが廻っているのですがパイロットが乗っていません。キャプションには”アメリカ国内で訓練を受けている頃、飛行機を撮るのは禁止されていたため単独飛行の際ひとり砂漠に着陸し急いで撮った”とありました。高価なフィルムを持って戦地へ赴く兵士やこのパイロットのエピソードにアメリカ人のある面をうかがい知ることができます。このコダクロームは今でも製造され市販されていますが粒子の細かさと独特の色あいに多くのファンを持っています。

日本で出版されたこの種の本で、大変お薦めの写真集があります。
「マッカーサーの見た焼け跡」
副題が 「フェーレイス・カラー写真集 東京・横浜1945年」 となっています。
変形 210mm X 260mm、  ソフトカバー、176p    定価¥2,500
文芸春秋発行 1983年8月15日 第一刷  
  
この本は上質のアート紙に大版のカラー写真を載せており1ページ一点もしくは見開き一点を基本にしている。ジェターノ・フェーレイスという著者は従軍カメラマンでマッカーサーの専属カメラマンとして東京に進駐。写真集中、軍用機は雷電、二式大艇のみですがともにカラー見開きで素晴しいものです。他の写真のほとんどは焼け跡の人々の生活の記録ですがどれも資料価値の高いものです。

同じ様な内容でお薦めなのが、 
・毎日グラフ別冊「ニッポン40年前」1985年8月15日 毎日新聞社発行 A4 版 

こちらは当時定価¥980のグラフ誌で紙質は落ちるものの、全てカラー写真で構成された内容と写真の点数では上記の本を凌ぎます。複数の撮影者によるもので上記の本と写真が重複してないのもありがたい。数点ですが厚木の飛行機の残骸や水田に落ちた九十五式軽戦車のカラー写真もあります。上記二冊、古本屋さんにあれば是非手に取って見てください。

3/26/97

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